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2023/01/01(日)00:01
Wolverine: Old Man Logan
Wolverine: Old Man LoganMark Millar
Steve McNiven

Marvel 2010-09-22
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■Wolverine: Old Man Logan
■作:Mark Millar/画:Steve McNiven
■224ページ/カラー/ソフトカバー/29ドル99セント/ISBN:978-0785131724

『キック・アス』『ウォンテッド』他、割合に「中二病っぽい」話を書くことに定評のあるマーク・ミラーによる長編作品。

 収録作品は、『Wolverine (2003)』#66-72と、特別号『Giant-Size Wolverine: Old Man Logan』。

 現在から約半世紀後の仮想の未来を舞台に、年老いたローガンの苦闘を描く。

 この世界では、スーパーヒーローは、かつて起きたスーパーヴィランの一斉蜂起によってほぼ絶滅している。アメリカ全土はレッドスカル大統領の統治下にあり、キングピン、ドクター・ドゥーム、ハルクらが各地方を支配している(実に中二病的だ)。

 ローガン――いうまでもなく、かつてのウルヴァリンだ――は、殲滅戦を生き延びた数少ないヒーローだが、その際に心に深い傷を負い、アダマンチウムの爪を封印している。今や彼は、彼の過去を知らない女房・子どもたちと共に、カリフォルニア州サクラメントの郊外――人呼んでハルクランド――で農夫として生活している。

 だが農場の収穫は思わしくなく、地主のハルクの子どもたちに払う土地代がローガンの目下の悩みの種だった。

 そんなローガンの元に、かつての悪友ホークアイ――いまや盲目の好々爺となっている――が訪ねてくる。彼は、首都ニュー・バビロン(かつてワシントンD.C.と呼ばれた都市だ)へ、とある“荷物”を運ぶ仕事を請けおっており、ナビゲーターとしてローガンを雇いたいという。

 土地代を払うのに充分な金額を提示されたローガンは、残していく家族に後ろ髪を引かれつつも、ホークアイのスパイダーモービルに乗り込み、アメリカ横断の旅に出る。


 物語の「話形」としては、まあ、伝統的なアメリカン・ロードムービーだ。

 主人公は「過去の事件で傷を負った戦士」。彼はささやかな日常を守るために、悪友の誘いで長い旅に出る。無論、道中で主人公は「過去に負った傷」について明かす。一方で、相棒にしても何らかの「過去」を持っており、彼にの過去に関わる人間との間に一悶着ある。

 旅の終点まぎわ、相棒の運ぶ「荷物」の正体が明かされ、やはり一波乱が巻き起こる。そして主人公の心を動かす大事件が起き、ついに主人公は封印していた武器を抜き、最後の戦いに赴く。

 ……まあ、そんな感じの「おなじみの話」に、ディストピアな未来図とマーベル流のガジェットで肉付けした感じとなる(例えば、この手のロードムービーでおなじみの「パンクファッションの暴走族」が、ヘルサイクルを駆る「ゴーストライダーズ」だったり)。

 物語の話形は手堅く、各所に散りばめられたマーベル的なガジェットも面白く興味深い(ローガンらに襲いかかる「シンビオートに乗りうつられたとある動物」や、ホークアイの“娘”など)。

 耐えに耐え抜いたローガンがついに怒りを爆発させる最後の戦い(大ボリュームの増刊号『Giant-Size Wolverine: Old Man Logan』丸々1冊通してのバトルまたバトル)は非常に爽快で、オチもひねりが利いており、読んでいる間は非常に楽しい時間を過ごせることだろう。

 アーティストのスティーブ・マクニーブンは、細かなタッチやカケアミを重ねていくことで、老人となったローガンや荒廃した世界をリアルに活写している。ややもすれば頓狂なビジュアルになりがちなこの世界の風景に、重いリアルさを与えている点は高く評価したい。

 読者の期待を裏切らない、安心できる話形+安心して見られるアートで、難しいことを考えずに読める娯楽作を求める読者にオススメ。


 この手のロードムービーの常として、「続編が作りやすそうなラスト」になっている上、「思わせぶりに登場しながら結局何もしない人」も山ほどいるのだが。さて。
  
  
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適当にアメリカン・コミックスの単行本を読む男。
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